- 非機能要求グレードの問題点は、活用への障壁が高いこと
- [No1][A.1.1]可用性>継続性>運用スケジュール
- ①通常日の運用時間
- ②特定日の運用時間
- ③計画停止の有無
- 運用スケジュールに関するまとめ
- 結論:非機能要件として、運用スケジュールについて合意しよう
IPAの非機能要求グレードについて概要レベルの記事を書いたが、非機能要求グレードをシステム開発で活用しようと思ったら、細かいレベルまで中身を理解をしておく必要がある。ただ、この項目数は少なくなく、小項目レベルで119個存在する。1日1記事書いても4か月かかる計算だ。
1個目の項目について記事を書いたら最後、119個目の項目まで書かねばならないため、正直なところやるべきかやらないべきか迷った。が、そもそものこのブログを立ち上げた背景が、「要件定義の失敗によるシステム開発の炎上を1件でも防ぎたい」というところにあるので、意を決して書いていくこととした。何年かかるかわからないが、1個ずつ書いていくこととする。
非機能要求グレードの問題点は、活用への障壁が高いこと
非機能要求グレードのExcelシート1枚を印刷しようとしたら、なんとA3で20枚となった。網羅的に記載しようとする心意気はよいと思うが、読み手にとってはしんどいものだ。A3で20枚分の資料を読んで適宜要求グレード決めておいてと言われても、「全部読むのか?」となってしまう。ITシステムの導入をする人たちは、ただでさえも自分たちの業務で忙しい状況で、「まずはA3で20枚のシートをご覧ください」なんて言われたら、「勝手にやっといて」となってしまうはずだ。
なので、本ブログでは、非機能要求グレードに書いてある項目を、なるべく平易な言葉でまとめていくことを目指す。平易な言葉での置き換えを目指すので、単語の意味合いがずれてしまうかもしれないが、その場合は本家の資料で勉強していただけたらと思う。筆者が目指すのは、IPAの非機能要求グレードを読まずに拒否している人が、読んでみようかなと思ってもらえることだ。
[No1][A.1.1]可用性>継続性>運用スケジュール
さて、1項目目は、運用スケジュールという項目だ。運用とは、辞書的な意味で言うと、「物をうまく使うこと」となる。そのため、システムの運用といえば、システムをうまく使うこと、となる。運用スケジュールと言えば、システムをうまく使いこなす上でのスケジュールとなる。運用スケジュールで決めるべき項目は3点存在する。
- 通常日の運用時間
- 特定日の運用時間
- 計画停止の有無
の3点だ。以下、簡単に説明する
①通常日の運用時間
通常運用時間については、「平日の稼働時間をどうすべきか」ととらえていただくとわかりやすい。定時後はオフにしていいのか、夜間だけオフにしていいのか、24時間稼働が必要なのかというように、業務の特性に応じて、決めることができると思う。
上図の例では、社会的影響がほどんどないシステムなら、選択レベルは「2:夜間のみ停止」と記載されている。銀行のシステムなんかだと、社会的影響が極めて大きいシステムなので、選択レベルはもちろん「5:24時間無停止」となる。
②特定日の運用時間
特定日の運用時間については、「休日や祝日などの稼働時間をどうすべきか」ととらえていただければよい。これに関しても、業務の特性に応じて決めればよい。
③計画停止の有無
計画停止とは、要は定期メンテナンスのことだ。コンピュータは、いつかは壊れる。壊れないように、定期メンテナンスが必要なのだ。
この項目については、事前に取り決めた運用スケジュールの変更が必要かどうかで選択レベルが異なる。メンテナンスを行うことにより、運用スケジュールを調整することができるならば、選択レベルは0となり、調整できないならば、レベルは1となる。計画停止すらできないならば、レベルは2となる。
運用スケジュールに関するまとめ
今回は第一弾として運用スケジュールについて紹介した。営業日の稼働、営業日外の稼働、定期メンテナンス、について議論できれば、ある程度運用スケジュールについて詰めることができる。運用スケジュールについて決めるときは、顧客側、ベンダ側で、下記3点について、すりあわせてみるとよい。
- 営業日の稼働時間帯(何時から何時まで)はどうすべきか?
- 営業日以外の日の稼働時間(何時から何時まで)はどうすべきか?
- 定期メンテは許されるか?