要件定義の進め方

システム開発の大炎上を防ぐために、上流工程(前工程)に位置する「要件定義」について、考えていくブログです。

要件定義書の作り方
PDCAサイクルではなく、PDCサイクルを回そう
あるべきV字モデルについて整理した
スコープを決めてから、QCDの議論をしよう

要件と要求をどう使い分けるべきか

 

要件と要求の辞書的な違い

システム開発において、関係者間で用語の意味に対する認識に相違があると、開発がうまくいかなくなる。最初に混乱を招く言葉が、要件と要求だ。今回は、この2つの言葉について焦点を当てる。

 

goo辞書で二つの言葉の意味を調べると、下記のような結果とる。

要件
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%A6%81%E4%BB%B6/
1 大切な用事。「―のみ記す」

2 必要な条件。「教育者としての―を満たす」

 

要求
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E8%A6%81%E6%B1%82/

1 必要または当然なこととして相手に強く求めること。「待遇改善を―する」「―を飲む」

2 必要とすること。「からだが水分を―している」「時代の―」

 

要件は、静的な表現の意味合いが強く、要求は動的な意味合いが強い。正直、あまり違いがないことがわかる。当然だ。「要」に関する「件」なのか、「要」に関して「求」めることなのか、ということで、どちらも「要」に関することなのだ。

 

要件と要求をどう使い分けるべきか

では、これらの言葉をどう使い分けるかだが、結論から言うと、どちらでもよいが、どちらかに統一すればよい。使い分けようとするから混乱するのだ。意味があまり違わないのであれば、どちらから一方に寄せて使ってしまえばよい。

実際、私が担当するシステムでは、要件しか使っていない。それで、何か困るかというとそんなことはなく、顧客から見たらどちらでもよく、求めることが満足されていれば、それでよいのだ。

例えば、開発現場でよく出てくる単語として、要件定義書や要求仕様書がある。人によっては、これらを厳密に区分けする人もいるが、私の場合は、要件定義書で統一している。

要件定義書といえば、要件を定義した書であることがわかるからだ。一方で、要求仕様書といえば、要求の仕様書となるが、もう少し深堀り解釈すると、要求のする様(※)の書となるので、意味がよくわからないのだ。システム仕様と要求仕様を比べてみるとよい。

システム仕様:システムの「する様」

要求仕様:要求自体の「する様」

前者は理解可能であるが、後者は理解困難である。要求自体の「する様」とは何なのであろうか。

※仕様というのは、しようがないの「しよう」とも同じで、「する様(ありさま)」という意味である。

結論:要件と要求のどちらかで統一して使えばよい

そういうことで、私の場合は、好んで要件/要件定義という言葉を使用している。まあ、要求仕様書というのを好む人もいるのも確かだ。正直どちらでもよいが、どちらかに統一したほうがよい。顧客が求めているものができあがればよいのだから。